訪問診療

訪問診療について

当院の訪問診療、ごあいさつ

当院では2020年1月より訪問診療を開始いたしました。

訪問診療についてはもともと前職における中心業務でした。自宅には入院とは異なる利点もあります。同時に大変さもあります。

大学病院、地域の基幹病院、訪問診療、医院における外来診療と通じ、それぞれのメリットデメリットがあります。その中で少しでもより良いと思える医療を実践できるよう努力してきたいと思っております。

訪問診療歴

2012年7月から2017年5月 医療法人社団淳友会わたクリニック 副院長 訪問診療

在宅医療とは?

日本はいま、人類でもかつてない超高齢化社会を迎えています。
増大し続ける社会保障費用、不足する医療人財、医療資源への対策ひとつとして、「在宅医療」への注目が高まっています。

医療費削減が目的ときくと抵抗を覚えるかもしれませんが、実は「在宅医療」は患者さんやその身近な方が、最期の時間をその人らしく過ごすことができる数ある選択肢のひとつ、とも捉えることができると考えています。

昨今では、治療技術や医療機器の進歩、通信技術の発達などにより、在宅でも十分なケアができるケースが増えています。
点滴、酸素、採血、麻薬製剤の使用、胃瘻交換、気切カニューレ交換、腹水や胸水に対する処置など、多くの治療が在宅でも可能です。

病態の安定している患者さんの場合には、ご自宅で過ごされた方が自由にリラックスして過ごすことができるなど、「家にいること」のメリットが大きいことも多々あります。

在宅医療、入院医療のメリット・デメリット

すべての患者さんにあてはまるわけではありませんが、例えばこんなメリット・デメリットがあります。

在宅医療

メリット

  • 病院のようにルールはないので自由
  • リラックスできる
  • 移動費用がかからない
  • 天気が悪くても診察してもらえる
  • 医師、看護師との距離感が近い

デメリット

  • 介護者の負担がある
  • 緊急時の対応力(24時間体制ですが、入院の様には対応は難しいです)
  • 往診日は介護者の在宅が必要
  • CTなど、大きな設備が必要な検査は通院が必要
  • 血液検査結果が短時間では出ない
  • 抗がん剤治療など一部の治療は対応できないものがある
  • 年齢によっては負担金額が大きい

入院医療

メリット

  • 緊急時すぐに対応できる
  • 高度な検査が即座に可能
  • 抗がん剤治療などにも広く対応できる

デメリット

  • 規則があり自由にできない
    (食事・就寝時間、テレビはイヤホン着用、禁煙、禁酒など)
  • 個室代がかかると非常に高額になってしまうことがある
  • 慣れない環境の中、せん妄の症状がでることがある

「せん妄」ってなに?

「入院した途端に元気がなくなってしまった」というお話を耳にすることはありませんか?
これは、入院の高齢患者さんに多く見られる「せん妄」という症状が、原因とひとつと考えられます。

「せん妄」は、慣れない環境に置かれることで、元気がなくなってぼーっとするようになってしまったり、逆に興奮状態になってしまったりといった症状がみられる意識障害です。
中には、この症状のために退院が必要になる患者さんもいるぐらい、住み慣れた「いつもどおり」の環境というのは、患者さんの体調に大きく影響していると考えられます。

在宅医療に要する料金の内訳

この料金表は、在宅医療にかかる医療費を診療行為別にみたものです。

高齢者は1割負担の方と2割負担の方がいらっしゃいます。高齢者以外の方は多くは3割負担ですが、基本料金が異なります。

在宅診療基本料金表(円)
診療項目 1割負担 2割負担 3割負担
在宅総合診療
(24H対応)
3,690 7,380
定期訪問診察 830 1,660 2,490
臨時往診 790 1,580 2,370
夜間往診 1,300 2,600 3,900
深夜往診 1,950 3,900 5,850
休日往診 980 1,960 2,940
訪問看護指示料 300 600 900

実際に「在宅医療」を利用された方のおはなし

90歳男性の方で、癌多発転移の患者さんのおはなしです。
それまで化学療法を繰り返してきましたが、それ以上の治療は希望せず中止、退院されて訪問診療を開始しました。

癌による疼痛もあったものの、麻薬製剤により症状は軽快した状態で退院されました。

徐々に食事が摂れなくなっていたので点滴等で水分を補っている状態でしたが、ある日、
「患者さんはお寿司が食べたいと話している」と看護師から連絡が。

ご本人やご家族もとてもよく理解されており、病状や余命などもきちんと把握していらっしゃいました。
患者さん、そのご家族も、覚悟のうえでのご相談です。

その日はけっきょく、患者さんのご自宅でパーティーが開かれました。
患者さんはふるまわれたお寿司を2貫、むせることなく召し上がり、カラオケでは2曲を歌唱。ご家族やご友人との時間を過ごすことができました。

訪問診療、在宅医療

その夜、自室に戻られた患者さんは永眠されましたが、最期まで痛みや苦しさはありませんでした。

この方の場合には、患者さんや周囲の方に「いっしょにすごしたい」という希望があり、それを叶えることができた例です。何が良い・悪いではなく、ご自身やその身近な方々が最も良いと思えることを「選択できる」ことが大切だと考えています。

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