炎症性腸疾患

炎症性腸疾患

炎症性腸疾患

炎症性腸疾患は日本で急増している難病です。炎症性腸疾患は複数の病気の総称で、潰瘍性大腸炎、クローン病がその代表的な病気です。

潰瘍性大腸炎

現在日本には10万人を超える患者さんがいるとされています。欧米、先進国に多い疾患でアメリカでは日本の10倍ほどの有病率になっています。
潰瘍性大腸炎の症状は主に血便、腹痛、下痢といった症状がみられます。自己免疫疾患であり主に免疫が病態に関係していると考えられており、全世界で研究がなされていますが、いまだに原因や根本的な治療法が無い疾患です。
良くなったり悪くなったり(再燃寛解)を繰り返しながら生涯にわたり付き合っていく疾患ですが、適切な治療により寿命は縮まることはありません。しかし、炎症を放置しておくと腹膜炎をおこして手術が必要になったり、がんが発生したりし、致命的になることもあります。
治療では再燃しないようにコントロールを行います。急に悪くなったときにはステロイドが有効ですが、長期間にわたりステロイドを使用することは副作用や合併症を起こし有害です。
当院での方針はきちんとした管理を行い、再燃を起こさせないことを目標に行っていきます。

クローン病

現在日本では3万人ほどの方が罹患しています。
口から肛門まで腸管全層にわたり炎症を起こします。
クローン病はより合併症も多くみられ、治療は専門性を要します。
現在では抗TNF-α抗体(レミケード®、ヒュミラ®)という特効薬ともいうべき薬剤が開発されており、劇的に治療効果は改善されています。免疫機能を抑える方向に働く薬剤で、感染症などが問題になります。副作用を心配される方も多いでしょうが、正しい知識をもって診療を行うことで、きちんと病気も副作用もコントロールができます。
定期的な専門的な検査も必要な疾患であり、病院との連携をとりながら診療にあたっていきます。

炎症性腸疾患研修歴

慶應義塾大学病院消化器内科は前教授の日比紀文先生、現教授の金井隆典先生ともにご専門が炎症性腸疾患です。私は日比紀文教授体制の最初の大学院生として当時准教授であった金井隆典先生、現在杏林大学で教授を務めている久松理一先生、同教授の岡本晋先生、シカゴ大学准教授鎌田信彦先生方と炎症性腸疾患の臨床、基礎研究、臨床研究に携わってまいりました。
臨床研究は現在も東海大学医学部、兵庫県立大学をはじめ複数の研究機関と共同で継続して行っております。

腸内細菌叢について

腸内細菌叢が多くの疾患に関係することが注目されるようになりました。
○○ヨーグルトが△△の疾患に効く!とか効果的にはこのくらい食べると良い!
などまことしやかに言われていますが、現在のところ確かなものはまだありません。
理由の一つとして「腸内細菌は種類が多い」「数も多い」「人によって異なる」といったことから解析するのが非常に大変であるということが挙げられます。

我々は東海大学八王子病院消化器内科の患者さんを対象に腸内細菌叢を人工知能を利用して解析し、将来悪化するか否かが腸内細菌叢のパターンから推測できることを示しました。当院で開発に携わっており検証が可能です。ご興味のある方はお問い合わせください。

院長の研究歴

大学 理化学研究所(和光市)で発生学
慶應義塾大学病院微生物学教室小安研究室で基礎研究
大学院 慶應義塾大学大学院医学研究科内科系専攻消化器内科
炎症性腸疾患の基礎研究、臨床研究
人工知能(特に人工ニューラルネットワーク、自己組織化マップ)を使用した臨床経過の予測に関する研究、 予測プログラムの開発
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