在宅医療と外来通院の違いとは?それぞれの特徴をわかりやすく解説
目次
1.在宅医療と外来通院は何が違う?

外来通院とは?医療機関へ通って診療を受ける方法
外来通院とは、患者さん自身が病院やクリニックなどの医療機関へ足を運び、診察や検査、治療を受ける一般的な診療形態です。体調に変化があったときの診察だけでなく、高血圧や糖尿病などの慢性疾患を継続的に管理したり、定期検査を受けたりする目的でも利用されます。
医療機関には診察室や検査設備が整っているため、血液検査や画像検査など、必要な検査を受けやすいことも外来通院の特徴です。
一方、高齢になって足腰が弱くなった方や、病気・障害などによって移動が難しい方にとっては、移動や待ち時間そのものが大きな負担になることがあります。ご家族による送迎や付き添いが必要となるケースもあるため、通院を無理なく継続できる状態かどうかを考えることも大切です。
在宅医療とは?自宅など生活の場で医療を受ける仕組み
在宅医療とは、通院が困難な患者さんなどに対し、自宅や入居している施設などの生活の場で医療を提供する仕組みです。代表的なものに、医師が計画的・定期的に訪問して診療する「訪問診療」があります。
患者さんの状態に応じて、診察や薬の処方、血液検査、点滴、在宅酸素療法などの管理が行われる場合もあり、病気を抱えながら自宅療養を続ける方を医療面から支えます。また、必要に応じて訪問看護師や薬剤師、ケアマネジャーなどが連携することも在宅療養の特徴です。
ただし、自宅ですべての検査や治療ができるわけではありません。詳しい検査や専門的な治療、入院が必要になった場合には、病院などと連携して対応します。在宅医療は、医療機関へ行く代わりというだけでなく、生活の場で療養を続けるための医療体制といえます。
診療を受ける場所だけではない|それぞれの役割の違い
外来通院と在宅医療の違いは、単に「病院で診てもらうか、自宅で診てもらうか」という場所だけではありません。外来診療は、医療機関にある設備を利用した検査や専門的な診療を受けやすく、自力または家族の支援などによって無理なく通院できる方に適した方法です。
一方、訪問診療を中心とする在宅医療は、病気や身体機能の低下などによって通院が困難な方の療養生活を継続的に支える役割があります。患者さんの普段の生活環境を踏まえて診療できることも特徴の一つです。
どちらか一方が優れているわけではなく、病状や身体機能、生活環境、ご家族の支援状況などによって適した方法は異なります。通院の負担が大きくなってきた場合には、無理を重ねる前に、訪問診療を含めた今後の医療の受け方について医師やケアマネジャーなどへ相談することが大切です。
2.在宅医療の中心となる「訪問診療」とは

訪問診療は計画的・定期的に医師が自宅を訪れる医療
訪問診療とは、病気や障害、加齢などによって医療機関への通院が難しい方に対し、医師があらかじめ作成した診療計画に基づいて定期的に自宅や入居施設を訪問する医療です。体調が悪くなったときだけ診察するのではなく、継続的に全身状態を確認し、慢性疾患の管理や薬の処方、必要に応じた検査・処置などを行います。
診察では血圧や体温などの確認に加え、食事や睡眠、排泄、服薬状況といった日常生活にも目を向けながら療養を支えます。通院そのものが身体的な負担になっている方でも、住み慣れた環境で必要な医療を継続しやすいことが訪問診療の特徴です。
病状に応じて訪問看護や介護サービスなどとも連携し、在宅療養を支える医療体制を整えていきます。
急な体調変化に対応する「往診」と訪問診療の違い
訪問診療と往診は、どちらも医師が患者さんの自宅などを訪れて診察しますが、受診するタイミングや目的が異なります。訪問診療は計画的・定期的に行う医療であるのに対し、往診は急な体調変化に応じて臨時に行う診療です。
訪問診療は、通院が難しい患者さんに対して診療計画を立て、定期的・継続的に訪問する医療です。一方、往診は発熱や痛み、呼吸苦など急な体調変化が起き、患者さんやご家族からの求めに応じて医師が臨時に訪問して診察することを指します。
在宅療養では、定期的な訪問診療によって普段の状態を把握しながら、必要に応じて往診を組み合わせることがあります。ただし、すべての急変を自宅で治療できるわけではありません。検査や処置、入院管理が必要と判断された場合には、救急搬送や医療機関での診療につなげることも、在宅医療の重要な役割です。
訪問診療の対象となる「通院が困難な状態」とは
訪問診療は、原則として病気や障害などのために医療機関へ継続的に通院することが難しい方が対象となります。「寝たきりでなければ利用できない」というものではありません。
例えば、歩行が不安定で外出に大きな負担がある方、認知症などによって一人での通院が難しい方、がんなどの療養で体力が低下している方、医療機器を使用している方などでは、訪問診療が選択肢になることがあります。また、通院のたびにご家族による付き添いや介助が必要で、外来通院を続けることが大きな負担となっている場合も相談のきっかけになります。
実際に訪問診療の対象となるかは、病状だけでなく身体機能や生活環境なども踏まえて判断されるため、通院の継続に不安を感じ始めた段階で医療機関へ相談することが大切です。
3.外来通院だからこそ受けやすい診療・検査とは

医療機関の設備を利用した検査や治療を受けやすい
外来通院のメリットの一つは、医療機関に設置された検査機器や設備を利用しながら、診察から検査、治療まで進めやすいことです。
例えば、血液検査や尿検査、心電図、レントゲン、超音波検査、CT・MRI、内視鏡検査などは、医療機関の規模や診療体制によって異なるものの、院内または連携する医療機関で受けられます。訪問診療でも採血や点滴など自宅で対応できる医療はありますが、持ち運べない大型機器を使用する検査や、専門設備を必要とする処置には限界があります。
症状の原因を詳しく調べる必要がある場合や、定期的に専門的な検査・治療が必要な場合には、外来通院が適していることがあります。在宅療養と外来通院は優劣で考えるのではなく、必要な医療内容に合わせて選択することが大切です。
複数の診療科や専門医へ相談しやすい場合がある
複数の病気を抱えている方や専門的な検査・治療が必要な方にとって、外来通院は診療科や専門医へつながりやすいというメリットがあります。例えば、内科で診察を受けた結果、循環器、呼吸器、消化器など別の領域で詳しい評価が必要と判断された場合、総合病院などでは院内の別診療科へ紹介されることがあります。
また、より高度な検査や治療が必要な場合には、かかりつけ医から専門医療機関へ紹介してもらうことも可能です。一方、訪問診療でも専門医療機関との連携は行われており、在宅療養を始めたから専門的な診療を受けられなくなるわけではありません。
病状に応じて外来診療と訪問診療の役割を分け、必要な医療へ適切につながる体制を整えることが重要です。
自分で通院できる方にとって外来診療が持つメリット
ご自身で無理なく医療機関へ通える方にとって、外来診療は継続的な健康管理を行いやすい医療の受け方です。診察時には症状や検査結果について直接相談でき、必要に応じてその場で検査を追加したり、治療内容を見直したりできる場合があります。
また、定期的に通院することで、血圧や血糖値などの変化、慢性疾患の経過、服薬状況などを継続して確認できます。ただし、「歩けるから外来通院を続けなければならない」と考える必要はありません。
通院後に強い疲労が残る、転倒の心配がある、ご家族の付き添いが欠かせないなど、通院そのものが生活の負担になっている場合には、訪問診療を含めた在宅療養へ移行することも選択肢となります。
4.訪問診療・在宅療養を選ぶメリットとは

通院による身体的な負担を軽減しやすい
訪問診療の大きなメリットの一つは、患者さんが医療機関まで移動する負担を軽減しながら、継続的な診療を受けられることです。高齢になって足腰が弱くなった方や、脳血管疾患の後遺症、認知症、がんなどによって外来通院が難しくなった方にとって、移動や待ち時間そのものが大きな負担になることがあります。
訪問診療では、医師があらかじめ立てた診療計画に沿って定期的に自宅などを訪問し、診察や薬の処方、健康状態の確認などを行います。通院が難しくなったからといって、必要な医療を諦める必要はありません。
受診のたびに強く疲れる、外出後に体調を崩しやすいといった状態が続いている場合は、在宅療養という選択肢について医師や医療機関へ相談してみることが大切です。
自宅での生活状況を踏まえながら診療を受けられる
在宅療養では、患者さんが普段生活している環境を確認しながら医療を提供できることも特徴です。外来診療では把握しにくい食事や服薬の状況、室内での移動、ベッド周辺の環境、ご家族による介護の状況などを確認することで、実際の暮らしに即した療養方法を検討しやすくなります。
例えば、処方された薬を正しく管理することが難しい場合には、服薬方法を見直したり、必要に応じて訪問看護や薬剤師などとの連携を検討したりすることがあります。在宅医療は、病気だけを見るのではなく、患者さんの生活そのものを踏まえて支える医療でもあります。
病状だけでなく「自宅でどのように過ごしたいか」という希望も医療者と共有することが、無理のない療養生活を考えるうえで重要です。
ご家族の通院付き添いに伴う負担軽減にもつながる
外来通院が難しくなると、患者さん本人だけでなく、付き添うご家族の負担も大きくなることがあります。車いすでの移動や乗り降りの介助、医療機関までの送迎、長い待ち時間への付き添いなどが必要になると、仕事や家事、介護との両立が難しくなることもあります。
訪問診療を利用することで、定期的な診察を自宅で受けられるようになれば、患者さんだけでなく、ご家族の通院付き添いの負担を軽減できる可能性があります。また、診療時にご家族が患者さんの体調変化や介護上の困りごとを医師へ相談できることも、在宅療養のメリットです。
ただし、ご家族だけで介護や療養を抱える必要はありません。訪問看護や介護サービスなども含め、必要な支援を組み合わせながら継続できる体制を整えることが大切です。
5.在宅医療を利用する前に知っておきたいこと

自宅では対応できない検査・治療もある
訪問診療では、医師が患者さんの自宅や施設を定期的に訪問し、診察や薬の処方、血圧・酸素飽和度などの確認を行います。病状や医療機関の体制によっては、採血や点滴、在宅酸素療法などに対応できる場合もあり、通院が難しい方の療養生活を支える重要な医療です。
一方、自宅には病院と同じ設備があるわけではないため、CT・MRIなどの画像検査、内視鏡検査、手術など、医療機関でなければ実施できない検査・治療もあります。そのため、在宅医療を選択したからといって、すべての診療を自宅だけで完結させるとは限りません。
日常的な病状管理は訪問診療で行い、必要な検査や専門的な治療は病院で受けるなど、在宅医療と病院、それぞれの役割を理解して利用することが大切です。
病状によっては病院への受診や入院が必要になる
在宅療養を続けている方でも、病状の変化によっては外来受診や入院が必要になることがあります。例えば、詳しい検査が必要になった場合や、自宅では管理が難しいほど症状が悪化した場合、緊急性の高い治療が必要と判断された場合などです。
訪問診療は「一度始めたら入院できない医療」ではありません。患者さんの状態を確認しながら、自宅で対応できる範囲と病院での診療が必要な状況を見極めていくことが重要です。また、状態が落ち着いた後に、病院から再び在宅療養へ戻れる場合もあります。
大切なのは療養場所を固定することではなく、その時々の病状や本人・家族の希望を踏まえ、安全性にも配慮しながら適切な医療を選択していくことです。
訪問診療だけでなく訪問看護・介護との連携も重要
在宅療養は、医師による訪問診療だけで成り立つものではありません。患者さんが自宅で生活を続けるためには、病状や生活状況に応じて訪問看護師、ケアマネジャー、薬剤師、ホームヘルパー、リハビリテーション職など、複数の専門職が関わることがあります。
医師が診断や治療、薬の調整などを担う一方、訪問看護では体調確認や医療的ケア、療養上の相談などを行い、介護サービスでは食事・排泄・入浴など日常生活の支援を受けられる場合があります。それぞれの専門職が情報を共有し、役割を分担することが在宅療養を支えるうえで重要です。
通院が難しくなってきたと感じたら、医療面だけでなく、食事や移動、服薬、介護など、生活面でどのような支援が必要なのかも含めて相談するとよいでしょう。
6.外来通院から訪問診療への切り替えを考えるタイミング

通院するだけで強く疲れるようになってきたとき
これまで問題なく外来通院できていた方でも、病気の進行や加齢、筋力・体力の低下などによって、通院そのものが大きな負担になることがあります。診察時間は短くても、自宅から医療機関までの移動や待ち時間、着替えや外出の準備などを含めると、患者さんの身体には想像以上の負担がかかる場合があります。
「受診した日は一日中横になっている」「通院後に体調を崩すことが増えた」といった変化がみられる場合は、医療の受け方を見直す一つのタイミングです。
訪問診療では、通院が困難な患者さんに対して医師が定期的に自宅などを訪問し、診察や薬の処方、病状管理を行います。完全に外出できなくなってから考えるのではなく、通院による身体的負担が大きくなってきた段階で、主治医や訪問診療を行う医療機関へ相談しておくことが大切です。
一人での通院やご家族による付き添いが難しくなったとき
外来通院を続けるには、患者さん自身の体力だけでなく、移動手段や付き添うご家族の状況も関係します。歩行が不安定になった、車いすでの移動が必要になった、認知機能の低下によって一人で受診することが難しくなった場合などは、通院を続ける負担が大きくなることがあります。
また、ご家族が仕事を休んで毎回付き添っているなど、介護する側の負担が増えているケースも少なくありません。訪問診療の利用を考える際は、患者さん本人の状態だけでなく、ご家族を含めた生活環境を確認することも重要です。
訪問診療は単に移動の手間を減らすためのサービスではなく、通院が困難な方が生活の場で必要な医療を継続するための仕組みです。通院を支えることが難しくなってきたと感じたら、無理を重ねる前に相談を検討しましょう。
受診間隔が空き、継続的な病状管理が難しくなってきたとき
通院の負担が大きくなると、「今日は体調が悪いから」「家族が付き添えないから」と受診を延期し、必要な診察の間隔が空いてしまうことがあります。高血圧や糖尿病、心疾患などの慢性疾患をはじめ、継続的な経過観察が必要な病気では、受診が途切れることで体調の変化や薬の調整が必要なタイミングを把握しにくくなる可能性があります。
処方薬がなくなってから受診する、体調が悪化したときだけ医療機関を利用するといった状態が続いている場合は、診療体制を見直すことも選択肢です。
訪問診療では、あらかじめ診療計画を立てて定期的に医師が訪問するため、自宅で継続的な病状管理を受けられます。受診できない期間が増えてきた場合は、病状が悪化する前に主治医やケアマネジャーなどへ相談することが大切です。
7.外来通院と訪問診療は併用できる?

病状によっては外来と在宅医療を組み合わせることがある
訪問診療を利用し始めたからといって、すべての外来通院をやめなければならないわけではありません。患者さんの病状や治療内容によっては、在宅医療を中心としながら、必要なときに病院や専門医の外来を受診することがあります。
例えば、日常的な体調管理や薬の処方は訪問診療で受け、専門的な検査や治療が必要な場合には病院を受診するといった方法です。ただし、訪問診療は原則として通院が困難な方を対象とする医療であり、どのような形で外来通院と組み合わせられるかは、患者さんの状態や医療保険上の取り扱いなどによって異なります。
「訪問診療を始めると病院に行けなくなるのでは」と心配せず、必要な医療をどこで受けるのが適切か、主治医と相談しながら療養体制を整えることが大切です。
日常的な病状管理と専門的な検査・治療を役割分担する
在宅療養では、訪問診療と病院の外来がそれぞれの役割を担うことで、必要な医療を継続できる場合があります。訪問診療では、定期的な診察や血圧・体調の確認、薬の処方・調整など、日常生活に密着した病状管理を行います。
一方、CTやMRIなどの画像検査、専門的な処置や治療など、自宅では実施できない医療が必要になった場合には、病院での診療が必要です。がんや心疾患などで専門医による継続的な診療を受けている方では、専門治療を病院で続けながら、日々の体調管理を訪問診療医が支えることもあります。
外来と在宅医療のどちらか一方だけに限定するのではなく、病状や生活環境に応じてそれぞれの役割を整理することが、無理の少ない療養生活につながります。
主治医や関係する医療機関との情報共有が大切
外来通院と訪問診療を組み合わせる場合は、それぞれの医療機関が患者さんの病状や治療内容を共有することが重要です。処方されている薬や検査結果、これまでの治療経過などが十分に共有されていないと、薬の重複や治療方針の食い違いにつながる可能性があります。
そのため、病院の主治医と訪問診療医が診療情報提供書などを通じて情報を共有し、どの医療機関が何を担当するのかを整理しておくことが大切です。
また、在宅療養では訪問看護師や薬剤師、ケアマネジャーなどが関わることもあります。複数の専門職が必要な情報を共有しながら連携することで、体調の変化にも気づきやすくなり、必要に応じて外来受診や入院など次の医療へつなげやすくなります。
8.自分や家族にはどちらが合う?医療の受け方を考えるポイント

「まだ歩けるから外来」と通院能力だけで判断しない
外来通院を続けるか、訪問診療を検討するかは、「自分で歩けるかどうか」だけで決めるものではありません。歩行が可能でも、持病や体力低下によって外出後に強く疲れる、公共交通機関での移動が難しい、長時間の待ち時間が負担になるなど、通院そのものが療養生活へ影響していることがあります。
また、認知機能の低下などによって、一人で受診して医師へ症状を伝えたり、処方された薬を適切に管理したりすることが難しくなる場合もあります。訪問診療は、原則として通院が困難な方を対象とする医療です。
「歩けるから対象外」と自己判断せず、病状や身体機能、通院に必要な介助などを含めて考えることが大切です。通院を続けることに負担を感じ始めた段階で、主治医や訪問診療を行う医療機関へ相談してみましょう。
病状・生活環境・介護状況を含めて考える
外来通院と在宅療養のどちらが適しているかを考える際には、病気の種類や重症度だけでなく、患者さんが実際にどのような環境で生活しているかも重要です。例えば、複数の慢性疾患があり継続的な健康管理が必要な方、一人暮らしの方、ご家族による通院の付き添いが難しい方では、それぞれ必要な支援が異なります。
食事や服薬、移動、排泄など日常生活の状況も、療養方法を検討するうえで大切な情報です。在宅療養では医師による訪問診療だけでなく、必要に応じて訪問看護や介護サービス、薬剤師、ケアマネジャーなどと連携して生活を支えることがあります。
本人の病状だけを見るのではなく、ご家族の介護負担や利用できる社会資源も含め、無理なく医療を継続できる方法を検討することが大切です。
無理に一つを選ばず、その時々の状態に合わせて見直す
外来通院と訪問診療は、どちらか一方を一度選んだら、その方法を続けなければならないものではありません。体調が安定し、自分で無理なく通院できている時期には外来診療を続け、病気の進行や体力低下などによって通院が難しくなったときに在宅療養へ移行することもあります。
また、訪問診療を利用していても、専門的な検査や治療が必要になれば、病院への外来受診や入院が必要になる場合があります。「外来か在宅か」という二者択一ではなく、その時点の状態に合わせて医療体制を見直すことが大切です。
「最近、通院が負担になってきた」「今後も自宅で過ごせるか不安」と感じたときは、状態が大きく変化する前から主治医や医療・介護の担当者へ相談しておくとよいでしょう。
9.外来から在宅療養まで支える|かなまち慈優クリニックの診療体制

通院が難しくなってきた段階から相談できる訪問診療
「まだ通院できているから、訪問診療を相談するのは早いのでは」と考える方もいらっしゃいます。しかし、在宅医療について相談するタイミングは、完全に外出できなくなってからとは限りません。
かなまち慈優クリニックでは、病気や加齢などによって外来通院の負担が大きくなってきた方や、ご家族による付き添いが難しくなってきた方などから、訪問診療に関する相談を受け付けています。患者さんの病状だけでなく、日常生活の状況や介護環境、ご本人・ご家族の希望などを確認しながら、在宅療養が適しているかを検討します。
外来通院を続けることが負担になり、受診間隔が空いてしまう前に相談することも大切です。今後の通院に不安を感じ始めた段階から、医療の受け方について一緒に考えていきます。
24時間365日の相談体制で自宅療養をサポート
在宅療養では、「夜間に急に熱が出たらどうすればよいのか」「休日に体調が変化したときに相談できるのか」といった不安を抱える患者さんやご家族も少なくありません。
かなまち慈優クリニックでは、訪問診療を利用している患者さんが自宅で療養を続けられるよう、24時間365日の連絡・対応体制を整えています。体調に変化があった場合には状況を確認し、必要性に応じて往診や医療機関への受診、入院などを検討します。
24時間対応とは、すべての連絡に対して直ちに往診を行うという意味ではなく、症状や緊急性を医学的に判断し、必要な対応につなげるための体制です。定期的な訪問診療に加え、急な変化に備えた連絡方法を共有することで、患者さんとご家族の在宅療養を支えています。
訪問看護・ケアマネジャー・地域医療機関との連携
在宅療養を安定して続けるためには、医師による訪問診療だけでなく、患者さんの生活を支えるさまざまな職種との連携が重要です。かなまち慈優クリニックでは、必要に応じて訪問看護師やケアマネジャー、薬剤師、介護職、地域の医療機関などと情報を共有しながら、患者さんの状態や生活環境に合わせた支援につなげています。
例えば、日々の体調管理や医療処置には訪問看護、介護サービスの調整にはケアマネジャー、専門的な検査や入院治療が必要な場合には地域の医療機関との連携が重要になります。
外来通院から訪問診療へ移行した後も、必要な医療や介護が途切れないようにすることが大切です。それぞれの専門職が役割を分担しながら、患者さんとご家族の在宅療養を支えます。
10.FAQ|在宅医療・訪問診療・外来通院でよくある質問

在宅医療と訪問診療は同じものですか?
在宅医療と訪問診療は同じ意味ではなく、訪問診療は在宅医療を構成する医療サービスの一つです。在宅医療には、医師が計画的に自宅などを訪れる訪問診療のほか、急な体調変化に応じて医師が訪問する往診、訪問看護、訪問歯科診療、訪問薬剤管理などがあります。
患者さんが住み慣れた場所で療養を続けるために、複数の医療・介護サービスを組み合わせて支援するのが在宅医療の特徴です。
訪問診療はどのような人が対象になりますか?
訪問診療は、病気や障害などによって医療機関への通院が困難な方が主な対象です。例えば、寝たきりの方だけでなく、歩行が不安定な方、認知症などにより一人での通院が難しい方、がんなどの療養で通院による身体的負担が大きい方なども検討されます。
年齢や病名だけで決まるものではなく、病状や移動能力、生活環境などを踏まえて判断されます。そのため、通院に負担を感じ始めた段階で相談できます。
歩ける状態でも訪問診療を受けることはできますか?
歩けるという理由だけで、訪問診療の対象外になるとは限りません。訪問診療では、単に歩行できるかではなく、医療機関へ継続的に通院することが困難な状態かどうかが重要になります。
例えば、自宅内では歩けても長距離の移動が難しい、付き添いがなければ受診できない、通院後に強く疲れてしまうといったケースがあります。実際に利用できるかは個別に判断されるため、通院負担が大きくなってきた場合は医療機関へ相談しましょう。
外来通院が大変になったら、いつ訪問診療へ切り替えるべきですか?
通院の負担によって必要な診療を継続しにくくなってきたときは、訪問診療について相談する一つのタイミングです。「完全に通院できなくなるまで待つ」必要はありません。
通院するだけで強く疲れる、転倒が心配、付き添う家族の負担が大きい、受診間隔が空くようになったといった変化は相談の目安になります。現在の病状や生活環境、今後必要になる医療を踏まえ、外来通院を続けるか在宅療養へ移行するかを検討します。
訪問診療では外来と同じような診察や治療を受けられますか?
訪問診療でも診察や薬の処方、病状管理などさまざまな医療を受けられますが、外来とまったく同じことができるわけではありません。患者さんの状態や医療機関の体制によっては、採血や点滴、医療機器の管理などを自宅で行えることもあります。
一方、CT・MRIなどの画像検査、専門的な処置や手術など、設備を必要とする医療は病院で受ける必要があります。在宅で対応できる範囲を確認し、必要に応じて外来や病院と連携することが大切です。
外来通院と訪問診療を併用することはできますか?
病状や治療内容によっては、訪問診療と病院などへの外来通院を組み合わせることがあります。例えば、日常的な体調管理や薬の調整は訪問診療で行い、専門的な検査や治療については病院へ通院するといった方法です。
ただし、医療保険上の取り扱いや診療体制によって調整が必要になる場合があります。複数の医療機関を利用するときは、治療内容や処方薬が重複しないよう、主治医同士で情報を共有することも重要です。
訪問診療にすると病院へ通えなくなるのでしょうか?
訪問診療を開始したからといって、必要な病院受診ができなくなるわけではありません。在宅療養中でも、詳しい検査や専門的な治療が必要になれば、病院への受診や入院が検討されます。
また、病状が安定し、自力での通院が可能になった場合には、医師と相談して外来診療を中心とした医療へ変更することもあります。その時々の病状や生活状況に合わせて、医療の受け方を見直すことが大切です。
訪問診療と外来通院では費用にどのような違いがありますか?
訪問診療は外来通院とは診療報酬の仕組みが異なるため、自己負担額にも違いがあります。訪問診療では診察に加えて、定期的な医学管理や訪問に関する費用などがかかる場合があります。また、検査や処置、往診などを行えば、その内容に応じた費用が加わります。
実際の負担額は健康保険の負担割合、訪問回数、診療内容、公費制度の利用状況などによって異なります。開始前に医療機関へ費用の目安を確認しておくとよいでしょう。
訪問診療を受けていて入院が必要になった場合はどうなりますか?
在宅療養中でも、自宅での対応が難しい状態になれば、必要に応じて病院への受診や入院が検討されます。訪問診療は「入院しないための医療」ではなく、患者さんの状態に応じて適切な療養場所を選択しながら医療を継続する仕組みです。
急激な病状悪化や、自宅では実施できない検査・治療が必要になった場合などには、連携する医療機関への紹介や救急搬送が必要になることもあります。入院後、状態が安定すれば再び在宅療養へ戻れる場合もあります。
訪問診療を検討している場合は、まずどこに相談すればよいですか?
訪問診療を希望する場合は、現在の主治医や訪問診療を行っている医療機関、病院の地域連携部門などへ相談できます。介護保険サービスを利用している方は、担当のケアマネジャーに相談する方法もあります。
入院中であれば、退院支援を担当する医療ソーシャルワーカーなどが在宅療養への移行を調整することもあります。「まだ利用するか決めていない」という段階でも、通院が負担になってきたら早めに相談することが大切です。
・・・・・・・・・・・・・・
監修:かなまち慈優クリニック
所在地:東京都葛飾区東金町1丁目41-3 No.5ウバノビル2F
電話番号:03-3609-0133
*監修者
かなまち慈優クリニック
理事長 高山哲朗
*専門分野
・内科
・消化器内科
・緩和医療
・産業医学
*職歴
・慶應義塾大学病院
・東京歯科大学市川総合病院
・北里研究所病院
・埼玉社会保険病院
・わたクリニック 副院長
*資格
・医学博士
・日本内科学会 認定医
・日本内科学会 総合内科専門医
・日本消化器病学会 専門医
・日本消化器内視鏡学会 専門医
・日本医師会 認定産業医
・緩和ケア研修会 修了
*その他の活動
・東海大学医学部 客員准教授
・NPO法人PDN(Patient Doctors Network) 理事
・PEG・在宅医療学会 データ委員
・予測医学研究所 所長
・葛飾区 内視鏡検査読影 世話人